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荒神山の勝っあん

浅草酉の市に手伝いに行き、思い出したことがある。

物心がつく前から、私は熊手と一緒に売り台の上に載せられていた。
半世紀以上前の話だ。
その頃うちに出入りしていた若い衆(わかいし)の話である。

若い衆と、いってもかなり高年齢の爺さんたちだが、
鳶の家ではいくつになっても「わかいし」と呼ぶ。

うちではそんな人たちのことを
「源氏梅の源さん」「小源氏の松っあん」
「荒神山の勝っあん」などと呼んでいた。
その昔流行った素人相撲の四股名が、そのまま名乗りになったという。


「源さん」は酒が好きで、飲み過ぎては酉の市の店で、よく居眠りをしていた。
お客様から「この熊手はいくらだい」と聞かれると、
「2円だけど1円50銭に負けとくよ」と、
お客も驚く時代錯誤の値段を言い出し、
親父も「こりゃダメだ。早く家に帰してやんな」と呆れていた。

釣りが名人級の源さんは、親父が病気と聞くと「頭に鯉を食べさせて」と、
たびたび生きた大きな鯉を持って見舞いに来てくれた。
顔は般若みたいだったが根はやさしい爺さんだ。


「松っあん」は頭にタオルで鉢巻きをした上に、
大きな竹籠に沢山の熊手を入れたものを乗せて両手で支え、
つっかけ草履で鷲神社の境内を、まだまだ元気に動き回っていた。
半纏を着た爺さんの大原女である。


「荒神山の勝っあん」はすごい。
大学出の息子さんは官僚で、運転手付きの黒塗りの車で家に来て、
「湯河原に親父の隠居所を作りました。これから楽をしてもらいます。」と、
挨拶をして際物商売が好きな勝っあんを連れて行った……。
「立派な息子を持って、勝っあんは幸せだ」と、
祖父や親父が話していたのも束の間で、

ひと月もすると「頭、モトをすこし貸してください」と、
風呂敷包みに半纏を入れた勝っあんが現れる。
お金を借りて「青梅」や「金魚」などシーズニングの商材を選び、
一日振り売りの商いをしてくる。

勝っあんは上野、下谷、根岸あたりの旅館などが旦那場で、
そこに持って行って売りきってくる商売上手。

借りたお金を返すと、気が大きくなり大好きな「お酒」である。
挙げ句は酔っぱらって年甲斐の無い「荒神山」の名の通りの喧嘩沙汰。
物堅い息子さんが青くなって、「親父がお邪魔していませんか」と、
居なくなるたびに何度も迎えに来ていた。


個性的で素敵な爺さんたちのインパクトは強烈だ。
あんな年寄りになってもいいな。
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